メニュー

帯状疱疹について

水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV:varicella-zoster virus)の初感染では水痘(みずぼうそう)になりますが、この時に主に皮膚にでた発疹から神経を伝わって所属の脊髄後根神経節内にウイルスが潜伏するといわれています。後根神経節内に潜伏感染していたウイルスが何らかの誘因で、再活性化して発症するのが帯状疱疹です。誘因として過労や悪性腫瘍の合併を含めて宿主(ヒト)の免疫機能の低下、手術や放射線照射などがあげられます。
ウイルスが再活性化されると神経節内で増殖し、知覚神経を通って表皮に達し、表皮細胞に感染しそこで更に増殖して、赤い丘疹や水疱が神経の走行に沿って帯状に出現します。
他のヒトから感染して帯状疱疹になるわけではありません。
水痘罹患や水痘ワクチンを接種して抗体を持ったものの約20%が罹患すると言われています。高齢になると罹患しやすく90歳以上のヒトではその半分は罹患すると考えられています。

症状

片側の神経分布領域に一致して神経痛様疼痛、知覚異常あるいは痒みが数日から1週間続き、やがて虫刺されのような浮腫性の紅斑が出現します。
この時期に軽度の発熱やリンパ節腫脹、頭痛などの全身症状がみられることもあります。間もなく紅斑上に小水疱(みずぶくれ)が多発します。水疱は中央にくぼみがあり、初めは透明ですが、黄色い膿疱となり、6~8日で破れてびらん(ただれ)または潰瘍になります。
皮疹の出現後1週間までは紅斑や水疱が新生し、皮疹部の拡大がみられますが、以後は治癒に向かい、約2週間でかさぶたとなり、約3週間でかさぶたは脱落して治癒します。
好発部位は胸髄神経節の領域である体幹(胸とお腹)に多くみられます。
病変が広範囲で、ひとつひとつの皮疹が大きく、黒ずんだ水疱を形成している場合や激烈な痛みがある場合は入院治療が必要です(専門医に紹介引き継ぎします)。
痛みが3か月以上持続することを帯状疱疹後神経痛(PHN:postherpetic neuralgia)といいます。

合併症

頬部、下顎から肩にかけて(三叉神経から第3頚髄神経領域)の帯状疱疹の場合、同側の顔面神経麻痺、味覚障害、内耳障害を伴います。まれに上肢の運動麻痺が生じます。
腹部の帯状疱疹では便秘を伴うことがあります。仙骨部の帯状疱疹では膀胱直腸障害がみられ尿閉が起こることもあります。

診断

臨床症状、血清抗体価の上昇でなされます。

治療

抗ウイルス薬(アシクロビル、ファムシクロビル、バラシクロビルなど)の全身投与(経口内服)をできるだけ早期に開始することが大切です。
重症例は入院して抗ウイルス薬の点滴静注が必要になります。帯状疱疹の出現している時の急性期疼痛に対しては、アセトアミノフェンやプレガバリンなど鎮痛薬を使用します。

当院では病態症状に応じて適宜、専門医(皮膚科)に紹介引き継ぎしています。

予防

50歳以上の方に水痘ワクチンを接種した場合、その後の帯状疱疹罹患頻度、重症度、帯状疱疹後神経痛への移行が抑えられたと報告があります。任意接種です。

 

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME